朝井リョウ原作の『正欲』。小説を途中で読んだままではあるものの、映画化もされているということで、Netflixで視聴しました。
簡単なあらすじ
『正欲』では、何人かの登場人物の視点が切り替わり話が進んでいきます。地元のショッピングモールで働く女性(主人公的立ち位置)、不登校の息子を持つ検事の父親、両親を交通事故で無くし地元に戻ってきた同級生、男性が苦手な女学生などなど。それぞれの視点で物語が進んでいき、徐々に話が繋がっていきます。
主人公は、周りには理解されにくいフェチズムを抱いています。そして、同じフェチズムを抱えている人物に出会い、共に生活を歩んでいくのですが……
ラストは怒涛の展開だった
エンドロールが流れている間、じばらく呆然としてしまいました。あまりに切ないエンディング……!それぞれの出来事が少しずつ違えば、こんな結果にならなかったのに……と胸が痛くなりました。
バッドエンドっぽい書き方をしていますが、うーん。バッドとまではいかない終わり方かな、と思います。すごく切ないですけどね。最後に主人公が言った言葉のおかげで、救いがない終わり方にはなっていませんでした。
映画を観て思ったことは、「周りに理解されないものを抱えて生きていくことは、きっとすごくしんどいことだろうな」ということです。自分でもそれは普通ではないと自覚しているから、日々目立たないようにひっそりと生きて、分かり合える人とささやかに日常を過ごしていく。
きっとお互いの存在があるおかげで、二人でいる瞬間だけは許されているような感覚にもなっていたんじゃないかと思ったり。
また一方で、「普通」側に属している人間は、その「普通」に囚われて思うように身動きが取れないように見えるシーンがちらほら。また、人と人のつながりも「普通ではない」側の方が強いのかもしれない、とも思わせられたり。
非常に考えさせられる映画だったなあ、と思います。気分が晴れるような映画ではないけど、個人的にはとても面白い映画でした。この記事を読んで気になった方はぜひ、観てみてください。
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